身・口・意を正す

意識

身・口・意を正す
 これは、上江洲義秀さんが言っている言葉です。曹洞宗の経典にも載っています。行動、言葉、思いを整えるということです。
 私達の一生には、順風満帆のときがあったり、もがく時があったり、窮地に陥ったりすることがあります。その中で、比較的多いのは、何かを成そうと、もがいている時ではないでしょうか。そんな何かを成そうとしている時は、いろいろ考えたり、注意している時なので、あまり大きな落とし穴には、はまらないと思います。でも、順風満帆の時には、順調過ぎて、周りの変化に気が付かなかったり、また、人によっては、傲慢になったり、人を見下したり、お金の使い方が荒くなったり、遊びまくって不摂生したり、体を酷使したりする人もいると思います。その様な時には、自分がしている事に気が付いていないのかもしれません。自分の内側を見てない状態です。また逆に、窮地に陥っている時もそうです。切羽詰まって、どうしていいか分からない時に、誰かから、うまい話を持ちかけられたら、なりふり構わず、よく考えずに、話しに乗ってしまうかもしれません。
この様な時に、行動が雑になったり、言葉が乱れたり、要するに、”思い”が乱れた状態になるのだと思います。乱れてますから、”ダメ、そっちじゃないよ”という方を選択してしまい、落とし穴に落ちてしまうのかもしれません。その穴が浅ければ、出るのは簡単かもしれませんが、深ければ、出るのにいろんな手段が必要になるかもしれません。これも、ブループリントに描いてきた予定のうちかもしれませんが、浅いうちに気付いてしまえば軽く済むものも、何も気付かずに、自分を見つめることもせず、乱れたまま過ごしていたら、やはり、それなりの事になるのだと思います。何かに気付くまで、いつになるかは分かりませんが、手を替え品を替え、いろいろなことが目の前に現れるということです。
私が思うに、順風満帆の時や窮地に陥りそうな時こそ、一呼吸入れて、身・口・意を正すのが必要なんだと思います。
例えば、取引でトラブルが起きた時、お互いに言い分があります。それを踏まえないで、自分の言い分をまくし立てたら、話し合いにすらならないのではないでしょうか。また、感情に任せて言葉が荒くなったり、表情に出したりしたら、さらに面倒なことになると思います。家庭内でのやりとりでも同じだと思います。自分は、本当はどうしたいかを、一呼吸入れて、それを確認したら、それなりの思い、言葉、行動をとる選択ができる様になると思います。この一呼吸は凄く大切です。
 人間は、ある事象に対して、あらゆる情報を自分が期待する方へと解釈して納得させ、さらに期待を大きくしてしまいます。この心理を非常に巧く使いこなすのが、詐欺師的なことをする人達です。例えば、もうすぐ凄いことが起きます。そうなるのも非常に近くなってきたといった話を、何度も何度も繰り返して、お客さんや読者、フォロワーの数を増やし、一定数を維持します。今これだけの数です、などと、そこを強調します。それを、ただ単純に、凄いと思ってしまうのです。実は、この手の数は、売買されているのです。また、元の方で、数字をコントロールしています。
だから、あまりフォロワー数を過大に評価しなくてもいいのだと思います。それを基準に選ぶと、情報操作に乗せられてしまう恐れがあります。みなさんも、なぜ、この歌がこんなに視聴数が多いのだろう、なぜ、こんなに短期間でこんなに数字が上がるのだろう、などと感じた事があるのではないでしょうか。
“その様な違和感が大事”です。全てを疑えと言った人もいます。それも大切だとは思います。でも、少し言葉がキツく感じるので、私は、”自分の違和感を掘り下げるのが大切”と言いたいです。なんでも疑っていたら、疲れてしまうと思います。だから、「なんだかなぁ」と感じたら掘り下げて調べる癖をつけると、自分なりにいろいろ分かってきて、少なくとも落とし穴には落ちにくくなると思います。それは自分を知ることになるので、一石二鳥だと思います。
 「身・口・意を正す」と聞くと、何か、正しい思い、正しい言葉、正しい行動をいつも心がけなくてはならないのかと思ってしまうのではないでしょうか。もし、そうだとしたら、息が詰まりますね。だいたい、正しいって、誰のどんな基準なの、と思います。そうではなくて、”自分が受けて心地良い言葉や所作がある”と思います。その様なものは、相手が受けても同じ様に感じるのではないでしょうか。ただ、”思い”だけは、他人が何を思っているかは分かりません。だから、”思い”については、”自分が、軽くて広がりを感じるもの”をイメージしたらどうでしょうか。もちろん、これは、私の基準ですが、みなさんにもそれぞれ心地良いと感じるものがあれば、それを基準にすればいいと思います。この様に
“身・口・意を正す”ことを、あまり大袈裟に考えないで、日々の暮らしの中で、自分はいつもはこの言葉を言ってたけど、こちらの方が心地良いと思ったら、やってみればいいのだと思います。出来そうなことをまずはやってみる。これだったら、構えないで、”身・口・意を正す”ことに取り組めるのではないでしょうか。

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