天才学者

意識

天才学者
 昔、非常に変わった物理学者がいたそうです。学者というのは、いろいろな事を研究するのに、侃侃諤諤議論をしながらみんなでやるそうです。しかし、この学者は一人でコツコツと理論を積み重ねるというやり方だったそうです。そして、時々、10年に一度くらいだそうですが、突然出てきて、発表をしたそうです。そしてその内容が素晴らしいものだったとのことです。32歳でノーベル賞を受賞しています。いわゆる、孤高の天才学者という人です。
その彼が何かのインタビューを受けました。「どうしてあなたは部屋にこもって、最先端の研究所でみんなと研究しないのですか」と聞かれたそうです。その返事は、「あの人たちは、暗闇で落としたカギを探すのに、暗闇ではよく見えないからと、はるか遠い街灯の下で探しているだけです」というものだったそうです。なかなか強烈な皮肉ですね。
 私は小さな頃から、生と死についてよく考える様な人間でした。いずれ母親も死ぬんだ、と考えると居ても立っても居られない気持ちになりました。なぜ生まれて、嫌な目にあったりしながら生きているのだろう、それで最後は死んでしまって終わりって、何なのだろうなどと考えたものです。そんな事を考えているなんてことは、絶対に人に悟られない様にです。当然、そんなに簡単に答えは見つかりませんから、悩んだり、いろいろ葛藤したりしました。そしてあれやこれやしながら、48歳位までは葛藤し続けたと思います。
要するに、暗闇で落とした鍵を、よく見えないからと言って、遠くの街灯をあちこち回り続けていたという事です。見つかるわけないですね。でも何故か、いずれの宗教団体にも帰依することはまったくありませんでした。それらを否定する気はさらさらありません。しかし、私は、それらに対して非常に違和感を感じました。いろいろな話を聞いたり、機関紙を借りて読んだりしました。でも何か撥ねつける感じというか、受け付けないという感じがしたのです。それで48歳位になって、やっと探している場所が違っていることに気づいたのです。それまでのいろいろな経験は私にとって必要なことであり、そろそろ気づいてもいい頃かなというタイミングが48歳だったという事なのでしょう。
もし、私の様な考えで悩み、葛藤している人がいたら、焦らなくていいと思います、と伝えたいです。でも、焦ってもいいのです。それがその時の自分に必要だからです。つまり、一切無駄はありませんよ、という事を言いたいのです。いずれ、その人のタイミングで必ず気づきますから。
そして、気づきのプロセスに入ると、目の前が開けていく感じになります。重い感じから徐々に、軽い感じになってきます。だから、無駄は無いのですから、たくさん経験して、その時の感情を味わって下さい。その際に大事な事は、感情に呑まれないという事です。
そして、いずれ、何となく分かることがあります。それは、自分で描いたブループリントだったこと、自分に必要な事が目の前に起きている事、その際の選択というのは、毎瞬毎瞬自分がしていたのだ、という事などです。それが分かり始めると、かなり気が楽になります。他人のせいにしなくなりますから。
因みに、この孤高の天才学者の名前は、ポール・ディラックと言います。約120年前にイギリスで生まれた人です。あの有名なシュレディンガーと一緒にノーベル賞を受賞しました。この人も、たぶんスピリチュアルな人だったような気がします。思いの強さと行動が伴うと、降りてくる、と言いますから。もしかしたら知恵の泉を開いたのかもしれません。日本の物理学者の保江さんも、保江方程式を発見したのは、高速道路を猛スピードで走っている時に、突然静かな雰囲気に包まれて、額に数式がバンッと顕れたと言っています。その時は全く理解できず、ホテルで横になっていたら、その数式が何であるか、ハッと気づいたと言ってました。降りてきたのですね。
私達にも、それぞれ何かしらのお役目があります。それは、何だかわからないかもしれませんが、目の前の事にしっかりと向き合って
丁寧に対処しながら、最後までしっかり生ききることが大切なのだと思います。たぶん今の存在の仕方がお役目なのだと思います。

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